
ご存知ペスト(黒死病)とは、中世ヨーロッパで猛威を振るった恐怖の伝染病だ。病はペスト菌の感染の仕方によって症状が変わり、感染者の死亡率はおよそ50%~100%にもおよぶ。恐るべきことに、14世紀のヨーロッパでは全人口のおよそ3割の人々がペストに感染したことによって命を落としたと言われている。
死神という名が相応しい…。ペスト医師の恐怖のスチームパンクコスチューム! by Steampunk Artwork

さて、まずはペスト医師のお話をしよう。当時ヨーロッパで、ペスト患者を専門的に扱う医者であったのがペスト医師である。ペスト医師は、都市や地域と契約するため貧富の差なく人々に治療を施すことができたが、ペスト医師の多くは二流の医者や訓練不足の医者であり、患者の対して正しい治療を行えていたかどうかはかなり怪しいようだ。
# ペスト医師を描いた版画(1656年) / photo @ wikipedia
そんな彼らのスタイルは非常に独特だ。肌を露出させないよう全身をおおう蝋引きされた重布や革のガウンを着て、"つば"の広い帽子と鳥の口ばしのような仮面(ペストマスク)を被り、木の杖を持っている。
# 1720年に描かれたペスト医者(作者不明) / photo @ wikipedia
その効果のほどは怪しいが「悪性の空気」から医者自身を守るために、仮面の中にはたっぷりの香草をフィルターとして詰め込んだ。仮面の目の部分には悪霊払い用のアイピースをはめた。杖を携帯するのは患者に直接触れないためである。このおぞましい姿からも、ペストと戦う事がいかに恐ろしかったか想像にたやすい。




彼らの風貌や限りなく致死率の高い伝染病が広く蔓延した時代背景からも、ペスト医師は命を救う医師というよりは、まさしく死の到来を予感させる死神というイメージが相応しいであろう。
そんなペスト医師の姿を、恐ろしくも格好良くスチームパンク風コスチュームにアレンジしたのがこの作品だ。スチームパンクな小物やオブジェクト、衣装を手作りで制作している Steampunk Artwork によるものだ。



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