彼らは、道路から少し離れた草むらに放置されているペット用のキャリーを発見した。それは随分と時間が経っているもののように見えた。得体の知れないそれを確認するために、彼らはゆっくりとペットキャリーへ近づいて行く。
とても長い間キャリーに閉じ込められていた捨て犬の命の物語
キャリーの上部は破損していた。何者かが内側から何度も噛みつき、脱出を試みたようだ。しかしその穴は小さく、固体が通り抜ける大きさには至らない。
見れば痩せ衰えた雌犬がキャリーの中に閉じ込められていた。そのことに驚き、彼らはすぐにキャリーのロックを外した。 箱の内部は汚物にまみれていた。
長い間、狭い空間に閉じ込められていたせいだろうか、彼女(犬)は体をうずめて立ち往生していた。最終的には彼女を引き出すことに成功した。
この犬は、キャリーの破損していた天井から零れ落ちてくる雨水を飲んで、その飢えを凌ぎ、命を繋いでいたのだろうか。ドッグフードを与えると、彼女は興奮してそれを食べた。
男は、一旦その場所を離れて、車に乗って戻ってくる、そして彼女を車に乗せて出発した。この悲しい現場から離れるために。
彼女は車の中に入って、すぐに感謝の気持ちを表現してくれた。彼らは彼女を Charlie Bravo 略して CB と呼ぶことにした。
CBを家に連れて帰って綺麗にしたが、衝撃的な事態に気がついた。彼らはトラブルに対応するため獣医の力を借りることにする。
CBの足の爪が伸びすぎてしまっていて、肉球の後ろ側へ成長していた。彼女は歩くことがとてもつらかっただろうと皆が心配した。
獣医によると、CBの負っている傷は、長く箱の中で閉じ込められている間にとても進行してしまっていた。またCBが保護された時、生まれて8ヶ月くらいだと推定した。しかしCBがどのくらい長い間、箱の中に閉じ込められていたかまでは、誰にも正確には分からない。
本来白い色のはずのCBの肉球は、長く汚物にまみれていたため黒く変色してしまっていた。その事からも、かなり長い期間はあのキャリーの中に閉じ込められていたと推測できる。
当初、男はCBを飼うつもりはなかったが、看護を続けていく間に彼女を手放すことができなくなった。それはとても自然なことかも知れない。
CBは、家族の新しい一員として幸せな暮らしをスタートさせた。家族のみんながCBのことを大好きなのは明らかだ。CBもまた、そう感じているように。
CBの治療にかかる医療費をまかなうために、彼らはFacebook上にこのストーリーを紹介し、寄付を募った。
寄付金の額が治療費を上回ったので、彼らは動物保護施設へ残った金額を寄付することを計画している。
昔、誰かに必要とされずゴミのように捨てられてしまっていた犬は、ある日の出会いをきっかけに大切な宝物となった。そんな命の物語。